*+ASTRAY+*

食べることとか大好き高校生のブログ。ツイッターのせいで変更滞り気味。SSあります。

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機動戦士ガンダムSEED palatine 09「黒く輝くロストロギア」

ジュエルシード。

それはスクライア一族によって発掘され、輸送中の事故でとある管理外世界へ散らばったとされる、高エネルギー体。

管理外世界に散らばったジュエルシードは民間人の高町なのは及びユーノ・スクライア、そして、プレシアの命を受けてなのはと敵対関係にあったとされる、フェイト・テスタロッサとその使い魔、アルフによって回収された。

そして管理局で保管されていたが、何者かによって奪取され、管理局はジュエルシードを機動六課に回収させた。

そのジュエルシードが、再び奪取された。

テッサはデータを読み終えると、ページを閉じてまぶたをこする。

アスカ少佐らに命じておいた管理外世界の調査の報告書も届いている。

もう、目が痛い・・・テッサはそう思いながらもアスカ少佐の報告書を開いた。

”ワイヤード・ゴースト”の真相はまだ不明。

だが、民間ネット警備会社VSSと、少佐たちが出向している治安維持局フラッグ、ワイヤードゴーストは何処かで繋がっている可能性が高い。

VSSはエリートの集まる会社で、そのエリートの中でもエリートと呼ばれるのがシュミクラムユーザーである。

そのシュミクラムユーザーのうち1人がもらした訓練内容の疑惑。

なんでもそのユーザーは電子体でダイブして三回に一回は必ず迷子になるというお約束を持っており、シュミクラムに乗ると”まるで”テスタロッサ大佐のように派手に転ぶほどネット適正が悪かった。

そのユーザーが、エリート部隊にいるという。

彼女が明かした訓練内容は、”訓練施設でのスフィア殲滅シュミレータ”と、”情報処理”が主だという。

実地訓練は殆どなく、代わりに”特別カリキュラム”が存在するとのこと。

カリキュラムについて聞いてみると”覚えていない”らしい。

通常訓練の時の記憶も曖昧なものらしいが、しっかりと訓練は身についているらしい。

「・・・」

もうダメだ、目が痛い。

データを閉じて目をこすり、あくびをする。

時計を見やるととっくに勤務規定の時間は過ぎている。

「ふぅ・・・」

溜息をついてから執務椅子から立ち上がり、部屋の出口へ向かう。

ジュエルシードが流出。

またスカリエッティのようなマッドサイエンティストが出てきた、という事だろう。

テッサは部屋を出て食堂へ向かう。

何時もの見慣れた簡素な通路。

宗介も寝静まったのだろうか、爆音も叫び声も聞こえない。

爆音が毎日聞こえる、という方がおかしいのかな、とテッサは軽く笑みをこぼす。

ご飯、残っているだろうか?

そう考えながら通路を曲がると、見慣れた女性が隣を歩き始めた。

「テスタロッサ大佐も今終わりですか?」

「はい、それと勤務時間は過ぎてるんですしテッサでいいです」

「わかりました」

ミュンファ・アルテレス中尉はこうしてみると、可愛い人だなと思ってしまうテッサ。

自分も可愛い系に入るのだろうが、ミスリル内では可愛いというより、キャリアウーマンと見られがちだ。

「どうしたの?テッサ」

丸く、黒い瞳がテッサを覗き込む。

「はい?いえ、別に大したことを考えていたわけじゃ・・・」

<マスター、誤魔化しきれてませんよ?>

「あう、ダーナッ!」

ポケットから待機状態――金のルーペ――のダーナを取り出し、ぐりぐりと握る力を強める。

ミュンファは「あの~」と、声をかけてはみたものの、残念ながらテッサは林檎みたいに顔が赤くなってしまっていて、此方に注意を払っていない。

<痛いです、痛いですよ、マスター>

「あうううっ、ダーナ!今日という今日は許しませんよ!」

握りつぶされようとしているダーナを痛々しい目で見ながらミュンファはテッサの背中を押した。

「っ!?」

「早く行かないとコッペパンもなくなります」

涼しい顔をしながらミュンファはそそくさと通路を歩いていく。

テッサは「待ちなさいっ!」と、叫びながらミュンファの後を追った。

ミュンファはそんな彼女を見るとささっと、走り始める。

ドタッ!

「イタッ!」

ん?今、誰かとぶつかったような・・・?

まぁ、いいや、そう思いながらミュンファは走る。

「にゃあ!?」

テッサは誰かの足を踏んだ気がしたが、まぁ、いいかといわんばかりにミュンファを追う。

充分スピードが出たときに、メールが来たというマシンボイスが頭に響く。

立ち止まって、ソレを開いてみる。

そしてテッサは頭を抱えてしまった。



「ふん、オフィーリアのコピーは無能だったわ」

白銀の書の守護者たちが自らの主を睨む。

デバイス”フランベルグ”も回収され、ジュエルシードもあちら側に渡り、コピーとはいえプログラムが敵の手に落ちた。

銀髪の女性は白銀の書を強く掴む。

「・・・オセリア、もっと強力なロストロギアはないの?」

<・・・主・・・>

「答えなさい」

<・・・・・・>

白銀の書の管制プログラム、オセリアは沈黙する。

守護者たちも沈黙を貫く。

「・・・ちっ、役立たずめ。
 アリシオン、どうにかならんのか!」

主がそう吐き捨てると、部屋の片隅で黙々とキーを打っている少年は小さく、「レリック」と、呟いた。

「レリックか・・・そうか・・・そうか、よし、わかったぞ。
 エイダ、いけるな?」

主は反対方向へ目を向ける。

目線の先にいる、赤いドレスを着た女性がデバイスを眺めながら、「ええ」と肯定する。

白い肌が握る鈍く輝く銃形デバイスが怪しいにおいを醸し出す。

「そうか・・・では、行ってこい、絶対にレリックを奪うんだ。
 それと、オフィーリアはデバイスをさっさと完成させろ、いいな?」

「「仰せのままに、主」」

暗闇に潜んだ二人の守護者はそう言うとさっさと部屋を後にした。

残った守護者たちも踵を返そうとする。

「あんた達はココにいな?」

妙な気迫を込めて主が言うと、守護者たちは足を止め、不本意そうだが従う。

「セオリア、何故答えなかった?」

口元をゆがめ、主が拳を握りながら問うた。

<・・・主の道を正すのも、私の役目です・・・命令とはいえ、やっぱり――>

主は白銀の書を殴った。

ぼん、と音が響いた。

守護者たちはソレを見て、嫌悪の瞳で見やるが主は気付いていない。

ぼん、ぼん、ぼん!

何度も叩かれ、セオリアは悲しかった。

私は、主の・・・主のことを思っているだけなのに、なのに・・・。

守護者たちも同様だった。

主は小さくしたうちすると白銀の書を投げ捨て、部屋を出て行った。

彼女の背中を見送り、静かになると、守護者の1人が「ちっ!」と大きく舌打ちをした。

それを合図に全員がそれぞれ愚痴を言った。

「くそっ!セオリアを何だと思っているんだ!」

若い女が涙声になりながらも叫ぶ。

「シンシア・・・」

「だってそうだろ!?レオン!」

「そうだが・・・」

涙声でシンシアは唇をかみ締める。

血が滲むほど、強く拳を握った。

少女が白銀の書の元へ歩いていく。

何処かの貴族のような、見事な巻き毛で美しい金髪が魅力的だった。

少女は白銀の書を拾い上げ、優しく抱く。

<アイーダさん・・・・>

「いいの・・・」

シンシアとレオンは少女を悲しみの瞳で見やる。

少女の、アイーダの蒼い瞳から涙がこぼれた。

もう、白銀の書を、セオリアを離したくないとでも言うように強く抱きしめた。


ピッ


アリシオンが端末のエンターキーを押した音が大きく響いた。



「ふ~ん♪」

天堂宮の第一調整室。

ココでは主にデバイスの整備がされる。

そこでシャリオ・ルフィーニは楽しそうに鼻歌を歌いながら敵から回収したインテリジェントデバイス――フランベルグを解析しながら修復していた。

機械の音に負けないような、何より美しい鼻歌が部屋の外にも防音措置がなされたこの部屋からも抜けていく。

テッサに呼び出しを受けた優香、零、雪風、白嵐、そしてシンの出向組はその調整室の前を通りかかる。

ソレを聞いて歩きながら優香は軽く微笑んでしまう。

「シャーリー、相変わらずね」

「うん・・・シャーリー姉ちゃん時々オイル臭い」

雪風はそう言いながら調整室の方を見やる。

「オイル、ねえ。シロや雪風は別に異臭とか思わないでしょ?」

優香が足を進めながら横目で雪風に問うと、

「うん・・・まあね。だけど、人前で大っぴらに言われるのは恥ずかしい・・・」

と、顔を赤くして顔を伏せる雪風を撫でてやる優香。

母親のような優しい笑みをつくり、アッシュ・ブロンドの髪を撫でる。

さらさらとした肌触りが気持いい。

「優香、私もっ!」

白嵐が眉を吊り上げて優香を見上げてきた。

「え?はいはい」

そう優香は返事をすると両手で2人を撫でてやる。

二人はとても嬉しそうに笑ってくれた。

優香はそんな幼い二人に笑みを返してあげる。

「ほほえましい光景だな」

「・・・」

通路を歩きながらのほほんとした雰囲気で調整室を通り過ぎ、執務室エリアへ向かう。

巨大なエレベータホールにでて、手近なエレベータの開放ボタンを押してやりながらシンは上を見上げた。

吹き抜けになっていて、ガラス越しに空が見える。

エレベータのワイヤが何本もそのガラスに向かって伸びていた。

時は夜。

星がまばゆく輝いていて、魅力的だ。

チンッ!と、子気味のいい音が聞こえ、シンはエレベータの扉が開いたのを確認、中に入る。

執務室階層へと続くそのエレベータはボタン操作無しで自動的に作動した。

何故かと言えば、このエレベータは執務室階層とその途中、数箇所だけとさっきのエレベータホールを直接行き来するからだ。

途中階層で乗れば上か下かボタンを押さねばならないが、このエレベータが結んでいる階層の一番上にあるエレベータホールから乗ったので直接執務室階層へ行けるのだ。

途中で降りたければその階層の近くでボタンを押せば自然と止まってくれるシステムだ。

このエレベータも天井はガラスだった。

ワイヤが黒く陰になり、明かり帯びた空が良く見える。

「空見るの久しぶり?」

はっと隣を見ると白嵐が不思議そうにこちらを見ていた。

「・・・まぁな。仮想の空とどんよりした雲しかここんとこ見てないからな・・・」

自分たちが今調査している第106管理外世界から見える空はどんよりとした雲ばかりだ。

環境汚染のためだと思われるのだが、何故コスモクリーナーなどの開発を進めないのだろうかとシンははじめてみた時は思った。

空気も排気ガス臭くて、息苦しかった。

「・・・まぁ、近代ナノマシンの開発意義が軍用と来たもんだし・・・。
 あの世界の首相たちがナノの使い方を変えればいずれ空が見えるわけで・・・」

あきれたように肩をすくめて見せる優香。

近代ナノマシン・・・か。

丁度今ソレを開発している世界が結構な数に上るんだよな、とシンは思った。

ナノマシンは目に見えない機械で、医療、軍用、何より食用などさまざまな使い道がある。

だが、使い方・・・とくに軍用だと間違った使用法の場合も多いんだよな。

あの管理外世界もナノマシンの使い方を間違わないで頂きたいものだ・・・シンは溜息をつく。

チンッ!

ベルの音で我に返り、開かれていくドアを見やる。

執務室階層の最下層だ。

足を進め、エレベータを下り、無言でシンたちは歩いた。



「敵守護騎士プログラムの修復と改造?」

「はい。主は・・・夜天の書一巻や私のクレセリアでは形式が古いので・・・現時点では優香さんということになりますね」

テッサは紅茶を見やりながら言った。

敵から回収したプログラム・・・”オフィーリア”と呼ばれる騎士のコピーを修復し、戦力として使おうとテッサは言った。

「でも、何でまた?」

優香が首をかしげながら問うと、雪風が口を開いた。

「私が、テッサにお願いした・・・。
 可哀そうだから・・・作っておいてそのまま使い捨てなんて・・・。
 私は以前、零をそんな風に射出した事あるけど・・・あの時はちゃんと、願いがあった。
 だけど、ただの、目的の達成のためだけにというのは、酷いから・・・」

雪風は俯いた。

優香はそんな雪風を軽く撫でてやる。

「わかった、了解です、ヤー」

優香は撫でてやりながら優しい声色で静かに言った。

テッサは頷き、データを優香へ転送する。

「・・・」

優香は目を軽く右へ左へと動かしながら、シンたちを見た。

シンは、怒っているようだった。

肩をわなわなと震わせ、唇が白くなるほど噛んでいる。

「ルフィーニ中尉に話は通してあります。
 第一調整室までお願いします。
 以上、解散。雪風、藤原中尉はそのまま第一調整室まで、そのほかは残ってください」

「「「「「ヤー」」」」」

それぞれ敬礼。

テッサは返礼してから執務机に軽く腰掛けた。

優香と雪風の後姿を見送り、ドアが閉まったのを確認するとシンは口を開いた。

「・・・で、今度は何だ?テッサ」

シンが砕けた口調でテッサに問うと、彼女は紅茶のカップを机の上から取りながらデータを送りつけてきた。

そのデータはミスリルにやってくる前、雪風と出会ったときのものだった。

「ロストロギア、”ジュエルシード”についてです。
 このとき、どのような状況だったのか、そういったものを聞きたかったので・・・」

紅茶を口に運び、目を細めるテッサ。

シンは「はあ・・・」と、テッサに返して、当時の状況を説明し始めた。



騎士プログラム”オフィーリア”の深層。

雪風は壊れたアイスを通り、個人しか知ることの出来ないであろう領域まで足を運んだ。

そこもやはりぼろぼろで、何時壊れてもおかしくはない。

そこは広く、真ん中に大きくて長い柱が一本。

この柱がココを支えているのだが、その柱もヒビだらけで天井が落ちてきそうだ。

そんな柱に雪風は指を沿わせる。

「・・・ごめんね」

小さく呟く。

ごつごつとした肌触りを味わいながら。

「・・・・・・ごめんね?」

小さいけど、以前”彼女”と出会ったときのように淡々とではなく、優しい声色。

(雪風、いつでもいいわよ)

優香がチャントで言ってきた。

彼女も優しい声色だった。

「うん、ヤー。・・・私が今、助ける」

そっと柱から指を離し、柱を見上げる。

深く深呼吸をして、目を閉じる。

そして、再び目を開ける。

「サルベージ」

雪風が大きく、決意のこもった声で宣言。

”エンゲージ”といつも宣言していた零のように。

データ修復が開始される。

メイヴ・カスタムの演算領域と天堂宮のメインサーバーを借りて再構築されていく空間。

雪風はそれを心配そうに見つめる。

早く、元に戻ってね、と願いを込めながら。



「くっ!」

時空管理局本局付近でギンガ・ナカジマは唇をかみ締め、ウィングロードを展開する。

目の前にいるのは黒のショートカットの髪で、目立つ赤いドレスを着込んだ女。

「・・・それで終わり?フロイライン」

背中と胸がギリギリまで露出していて、スリットもかなり深いドレスを着た女は薄笑いを浮かべながらギンガのことを”お嬢さん”と呼んだ。

ギンガはローラーを思いっきり蹴ってウィングロードを走り出す。

”デリンジャーナックル”のカートリッジを右で一発、左で一発消費させ、構える。

「はあああっ!」

左手を女に叩き込むが――女は空中で宙返りしながら魔道弾を放ってくる。

「うっ!」

ギンガの反応が数瞬遅れ、左肩に魔道弾を当てられてしまった。

鈍い痛みに顔をゆがめながらギンガは体勢を立て直し、着地。

非殺傷設定だが、痛みは現実のものだった。

「レリックは確かに頂いたよ。
 それじゃあ、またいつかあお――」

「待ってください!」

去っていこうとする女にギンガは痛みに耐えながら叫んだ・

「何?」

デバイスを構えながら女が聞き返してくる。

怖い瞳の色だった。

なんというか、”早くしろ”・・・いや、ちがう。

何だか良くわからないが、とにかく恐い。

「・・・貴方が、そこまでする理由は何ですか?」

ギンガがデリンジャーナックルを構えなおしながら問う。

女は目を細め、デバイスを握る力を強める。

「・・・・・・私はパラノイア(狂人)じゃない。
 誰だってアレを見れば辛いに決まってるわ・・・、だって、セオリアは・・・私たちの仲間なんだから」

僅かながらに声を震わせて答える女。

殺気はぶんぶんと臭わせたままだ。

セオリア?誰だ?

ギンガは女の話を聞いて困惑した。

あれとはなんだろうか。

だが、仲間の事を思っているのだろう。

ギンガが我に帰ると、女は無言で転送魔法を使用して去っていった。

「・・・っ、はぁ」

ギンガは溜息をつきながら構えの姿勢をやめた。

あの女の人は、いい人なんだろうな。

仲間の事を思って、こうやって危険を冒しているんだから。

だが、犯罪である。

自分はそれを、止める立場にいるんだ。

犯罪は犯罪、だから捕まえなくてはならない。

ギンガはまた溜息をついてウィングロードを解除、地面に着地。

周囲を見渡すと、戦闘のあとは殆どなし。

周囲に被害なし。

ギンガは今度は安堵の溜息を漏らした。

バリアジャケットを解除して、足を進めようとすると、美しい紫色をした、長い髪を持つ少女がやってくる。

「あ、ギンガさん」

「ルーテシアちゃん?」

「はい、・・・また、レリックですか?」

「え?うん」

ルーテシアの視力に感心しつつギンガは肯定した。

「そっか・・・また、私たちみたいな子が出ないといいな・・・」

ルーテシアは少しだけ俯く。

悲しそうな表情だが、彼女の目は決意と言う名の2文字が宿っていた。

キレイだ、とギンガは思いながら「それで、今日はどうしたの?」と、尋ねる。

彼女はさっと表情を変えて見上げえながら、「リンディ提督から呼び出しがきたんだ」と言って微笑んだ。

歳相応のかわいらしい笑みで、ついギンガの頬も緩んでしまった。

「そっか。これから行くの?」

「はい」

にっこり笑って微笑むルーテシア。

スバルとは別の意味で可愛い、とギンガはついつい思ってしまう。

「じゃあ、一緒に行く?私も本局に戻んないと」

「いいんですか?」

「もちろん!ルーテシアちゃんは可愛いから」

「・・・ではご一緒させていただきます、ギンガさん」

また笑ってくれた。

頭を撫でたくなってしまうがどうにかこらえて本局へ足を向けた。



ミッドチルダスラム街の一角。

そこには捨てられたカード。

トランプやウノと違って、ガラスや水晶のような美しいもので、何も書いていない。

鼻をつく異臭にも眉を顰めず平然と歩いていく人たちはそれに目をくれなかった。

そんな事が何日か続いたある日のこと。

数十枚に及ぶカードが小さく輝きだしたのだ。

魔力光の様に眩く、美しい輝きだが、黒く光っている。

<プラグナンバー1、データ破損、自己診断完了、修復開始。
 プラグナンバー2、フォルダ破損確認、自己診断完了、修復開始。
 プラグナンバー3、データ破損、自己診断完了、修復不可。新規データ作成開始――>

カードの陰に隠れた杖が、とても強い光を放つ。

その杖のマシンボイスが遠く響く。

スラムの路地に響いたソレを聞いた者は、リンカー・コアが暴走、死んでいった。

管理局が探しているロストロギアの1つである名も無きデバイスが、起動した。



「プログラムの修復は完了したよ、雪風ちゃん?」

メガネをかけなおしながら、シャーリーは雪風に報告。

「こっちも義体のテスト完了。
 DLしていいわよ?」

部屋の隅っこのコンソールで優香はキーを叩きながら言う。

そのコンソールに乗っているのはマネキンのような義体だ。

そしてそれの容貌は件の騎士プログラムのコピーだった。

優香の指がコマンドを打つたびにその義体は動いている。

それがまた無機的で、雪風はあまり見ていたくないと思った光景だ。

「わかった。・・・、義体コントロールシステム、ダウンロード開始」

エンター。

プログラムの修復作業は思ったより早く終わった。

だいたい3時間40分程でだろうか。

時計を見ればもうそろそろ日の出だろうと、雪風は思う。

義体コントロールシステムのDLでどれほどかかるだろうか?

雪風は手近なコンソールに腰掛け、空間モニターを見つめた。

ゲージバーはさほど進まない。

彼女――オフィーリアという騎士のコピーは困惑しているのだろうな。

ボンッ!という警告音。

私に無駄なプログラムを入れるな、と言いたいのだろう。

雪風はキーボードに再び触れ、指を躍らせた。

――安心して。
   新しい体を動かすためのプログラムだから。
   ウィルスでもスパイウェアでもないから安心して。

再び警告音。

だが、先ほどとは音色が違う。

モニタに映し出される警告内容も赤字表示が黄色表示になっている。

信じていいの?と、彼女は問いかけているのだろう。

指を再び動かす。

――信じて。私は貴方を助けるためにこうして作業している。
   助ける理由とか、信用に足りないとか言わないで、ただ信じて。
   私も貴方を信じる。だから貴方も私を信じて。

しばしの沈黙。

雪風は”お願い”と願いを込めながらキーを打つ。

すると、ゲージバーが少しずつ、動き出した。

「・・・ありがとう」

小さく呟きながらキーから指を離した。

まぶたをこすりながらもゲージバーから目を離さず、じっと見つめる。

目が乾いて痛いがそんなことには構うことなく雪風は、ただ見つめる。

優香は義体のコマンドを打つのと、DLさせるデータの整理と義体のシステムチェックを同時に進めながらチラリと雪風を見る。

その姿は美しい人形がコンソールに姿勢正しく座らせられてるようにも見える。

だが優香から見れば、コクピットでじっと雪風の様子を窺っていた零の姿に見えた。

優香は思わず頬を緩めて笑みを作ってしまう。

するといきなり扉が開いた。

「うわぁっ!」

シャーリーがキーボードから指を離して凄い勢いで驚いた。

優香も反射的に扉へ目を向けると、シンと白嵐、零の三人がトレイをそれぞれ2枚ずつ持っていた。

ふと溜息をついて再びモニターへ目を向ける。

「どうしたの?作業中の私たちの前で図々しくご飯でも食べようとか思ってるの?」

ぶっきら棒に言い放ちつつも優香のタイプ速度は落ちない。

シャーリーはメガネをかけなおしながら溜息をつく。

「飯食うだろうと思って持ってきたのに何だ?その態度は」

「・・・」

優香は空間モニターから目を離し、トレイの数に注目。

6枚。

それぞれトーストやスープが乗っている。

優香の呆気に取られたと言わんばかりの表情にシンは軽く笑みをこぼし、白嵐たちと一緒に室内へ入る。

扉が自動でロックされる。

「・・・わぁ、おいしそうですねえ!・・・手が離せないですけど・・・」

ぱあっと晴れた表情になったかと思えば、さっと沈んだ表情へなるシャーリー。

肩をがっくりと落として残念だと言いたげにキーを打つ。

「何処まで進んだの?」

白嵐が問うと雪風がチラッと一瞬だけ零たちを見やった。

「修復は完了してる。
 今は義体のドライバ(コントロールシステムプログラム)をダウンロード、インストール中」

優香がキーに指を走らせつつ言う。

退屈そうにも見えるが指だけは忙しくキーを走る。

ニガテなデスクワークと言えど愛機から下りたくないが為にFAF時代に手にすることが出来たブラインドタッチが滑らかに決まっていく。

シンはそれを横目に見つつ手近にあったテーブルに2枚のトレイを置く。

それに習い白嵐と零がそれぞれ2枚ずつ軽食が乗ったトレイをテーブルに置いた。

「手が離せないのか?」

「ん~、そういうわけではないですよ?
 だけど片手動かしながら食べないのいけないので」

笑みを見せながらシャーリーはキーを叩いていく。

「そうか」

シンはふと雪風を見やった。

「・・・」

じっと空間モニターを見つめる雪風。

シンはトレイをシャーリーのところへ持って行ってやった。

優香と雪風の分も同様に持って行ってやる。

「ありがと、シン」

素っ気無く優香は返し、雪風は無言でただ見ていた。


<ロストロギア・レリックが奪取された模様。魔導師閣員は所定の位置へ――>


アラートと共にアナウンスが流れてきた。

シンは咄嗟にテッサにチャントを送っていた。

「テッサっ!」

(アスカ少佐っ!?もう寝てたとばかり・・・・)

「寝てても飛び起きるよっ!
 それより状況は!?」

シンが勢い良くチャント問う。

零や優香が自然とそのチャントのチャンネルを調べ、テッサの言葉を待つ。

(さっきのアナウンスの通りです。
 レリックが何者かにより奪取されました。
 それと・・・あなた方には別の任務をお願いしたいです)

凛としたテッサの声を聞きながら優香は作業を急いで終わらせるべく作業速度を大幅に引き上げる。

「何だよ?」

(インテリジェントデバイスでも、ユニゾンデバイスやストレージでもないタイプのデバイスが暴走を開始しました。
 それを封印や破壊を行ってください。無理でしたらなるだけ情報を集めるように。
 藤原中尉、作業の中断は可能ですか?)

(ええ、可能です。
 もしそれを行うなら戦術コンピュータたちの演算領域を貸して欲しいんだけど。
 使用許可、お願いできますかね?機関長殿)

(許可します。では即座にミッドチルダへ向かってください。
 雪風もお願いしますね?)

雪風がはっと息を呑んだ。

そして顔をしかめる。

(・・・イエス・メム・・・・)

雪風にしては元気の無い返事だとシンは思った。

(では、宜しくお願いします)

チャントが途切れる。

優香たちは顔を見合わせた。

「・・・御命令だし、仕方が無いわね」

と、優香は苦笑を漏らしながらトーストをかじり、リンク作業を開始。

FAF特殊戦区からの持ち出しであるSTCとSSCにアクセスし、作業を開始させた。

「それじゃ、いこうか?」

「ああ」

「・・・」

「イエス・メム・・・う~ん、ヤー」

言い直す白嵐に柔らかい笑みを向ける優香。

シンはそんな彼女たちに「行くぞ」と呼びかけ、部屋を出た。

白嵐と優香、零の三人はさっさと退出した。

雪風は残念そうにゲージを見る。

――見守ってあげたかったのに。

雪風は頭を振って立ち上がる。

そして走って優香たちの後を追った。



「ちっ、遅かった」

メリッサ・マオ中尉は舌打ちをした。

敵が転送魔法を使って逃げてしまったようだ。

逆探知という手もあるが、している間にばれて逃げられる可能性がある。

周囲を見回すと戦闘の痕跡は殆どない。

あるとしてもローラーブーツかなんかが引いたと思われる黒い線やちいさな弾痕だけ。

マオはベリーショートの髪をくしゃくしゃと掻いて溜息。

「だが、多少の手がかりがあるかもしれん」

”戦争ボケ男”こと相良宗介曹長が弾痕を一つ一つ調べながら言う。

「まぁ、そうかもしんないけどさ」

「もうそんなの後処理の連中に預けてさっさと帰ろうぜ?
 おれ、寝てえんだけど」

クルツがぼやき、マオがそんな彼にけりを入れる。

毎回のパターンであるが、いつも以上に痛かったのだろうか、クルツ・ウェーバーは涙目になっていた。

「ほら、あたしらはベンの部下でしょうが。
 サボってたら思いっきりしごかれるわ。・・・あ~、怖い怖い」

マオがあきれたように、他人事のように言い放つ。

”ベン”という名を聞いて顔をしかめるクルツは「へいへい」と返事をしながら捜索魔法を展開。

しかし本局からよくレリックを持ち出せたものだとマオは感心した。

きっと、この手の手だれだろう見当をつける。

もっとも、本局の旧管理局派が気が緩んで警備が薄くなっていた、という事もあるのだろうが、やっぱり高ランク魔導師の仕業だろう。

霧のように細かくなり、リンカー・コアで吸収できなくなってしまった魔力素にいくらか癖があるからだ。

「他のポイントに行ったやつら、どうしてるかねえ」

他人事のように、やる気のなさそうにぼやくクルツにもう一度けりを入れてやる。

「ってえなぁ、姐さん」

「はいはいはい。他のやつらの事より今はここに集中しましょうね~♪」

「・・・ちぃ、へいへい、了解」

マオはふと溜息をついて空を仰いだ。

・・・・あれ?

あれって、煙?

煙だよな。ついでに魔力が恐ろしい勢いでその煙の元へと集まっていく。

マオは顔をしかめてその灰色の煙を注視。

ブレインチップに備わっているツールを使ってそこを拡大する。

ついでにマップも表示。

「ん?あれって、スラム街よね」

マオは目を細めてじいっと見る。

拡大の倍率も最大にして瞬きを繰り返しながら見る。

<間違いありませんね、マスター>

マオの愛機である”フライデー”が同意を求めるよう言ってきた。

「ん?どうした?姐さん」

クルツの蒼い瞳がマオの顔を覗き込む。

「ああ?・・・あれよ、あれ」

そう言いながらマオはクルツと宗介にデータを転送。

すると2人も煙が漂う方向へ首を曲げ、唸ってしまった。

そして、もう一度大きな爆発。

「・・・って、ほんとにやばくないか?これ」

流石のクルツも軽口を叩かずじっと煙漂うスラム街を見つめている。

「確かにまずいわね」

「テッサ・・・大佐殿、ではなく機関長殿へ聞いてみてはどうだ?」

「フムン・・・」

マオは無意識に顎へ手をやる。

そして待つこと数秒。

宗介にとってはある意味で長い数秒だった。

「とりあえず行ってみましょ?」

「「ヤー!」」

マオが戸惑い気味に言うと二人は大きく返事を返す。

マオが”あのねえ”と言いたげに二人を見やってからやれやれと溜息をつき、いつもの言葉を言った。


「覚悟はいいっ!?野郎ドモ!」

「いつでもっ!」

「どこでもっ!」


かくして3人の行動が始まった。



焦げ臭い。

人の姿が見えない。

足元に黒い墨のような物体が転がっている。

深井零はその物体を静かに見やり、死体だと気付く。

だが特に何も思わなかった。

前を見やればシンが、その赤い瞳を怒りに燃やしている。

シンは今にも飛び出していきそうだ。

だがそれがどうした、おれには関係ないではないか。

そう思っている自分に気が付き、軽く苦笑を漏らしてしまう。

「・・・・白嵐、テッサが言ってたものってどこにあるの?」

隣にいた、FAF時代からの同僚である藤原優香中尉が愛機に搭載されている戦闘知性”白嵐”に問う。

「今データ送った。そこにある・・・はず」

彼女、白嵐は珍しく曖昧な言葉を発した。

とくに任務中に曖昧な返答をしたのは多分、今日が初めてだ。

「雪ちゃん、そっちはどう?
 どうレーダーに反応してる?ちょっとあってるか確かめたいんだけど」

後ろを歩いているおれの愛機、雪風に問う白嵐。

だが、反応が無い。

白嵐が不思議そうに雪風を見やるがすぐに視線を前へ戻してしまった。

・・・あの騎士プログラムコピーの事が気になるのだろう、と零は思う。

精神リンク、そして魔力パスが伝っているから、なんとなく分かる気がする。

いや、リンクが繋がっていなくても、わかるだろう。

少なくとも、おれは、わかる。

「行くしかないかな」

優香がやる気のなさそうにぼやく。

「だろうな。とりあえず、行って見るか」

シンが溜息混じりに答え、先を行く。

人間の成れの果て――足元の屍に注意しながらおれたちは足の速度を速めた。

そして、黒いヒカリの柱が強風と共に空へ上っていった。




あとがき

中途半端ですね。w

ココで終わった理由はただ単にシンのデバイス名が決まっていなかったからです。

パラテイン・・・・パラティヌスにしようかな、意味一緒だけど。

パラディンも同じ意味になりますね。このSSのオリジナルパートでいずれ出てきます。

つぎのサブタイは「黒く輝くロストロギアⅡ」にします。

このロストロギア・・・もといデバイスの名前をどうするか・・・

何か良い名前はないだろうか・・・

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プロフこちら↑

高校一年生演劇部所属。
中学の時は吹奏楽部で、楽器はクラリネット(B♭)&バスクラリネット(B♭プラ菅)

マブラヴTEのクリスカマジイケメンwww
イーニァが可愛すぎww
タケミーはさらっと角なしが好き。角ありだと赤。
真耶か真那と言われたら真耶派。

~所有ゲーム~

DS
・わたしのリラックマ (積みゲー)
・シムシティDS2 (進行中?)
・おいでよ どうぶつの森 (進行中?)
・ポケットモンスターダイアモンド (殿堂入り完了)
・スーパーロボット大戦W(VSゲイツ戦フルメタルートまで)
・大合奏バンドブラザーズ (マスター攻略中)
・ポケモンレンジャーバトナージ (積みゲー)

PSP
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・初音ミク Project DIVA (ハード攻略中)
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・魔法少女リリカルなのはA’sGod(クリア済み)
・モンスターハンターポータブル2ndG(積み)
・最後の約束の物語(セレス√攻略中)

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