*+ASTRAY+*

食べることとか大好き高校生のブログ。ツイッターのせいで変更滞り気味。SSあります。

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機動戦士ガンダムSEED palatine 14「新天地」

「それで、あの機体は結局?」

「はい、異世界――未確認世界のものですね。
 まだ動く事には動きますが、あの少女たちの膨大な魔力を受け切れなくて、あちこちが痛んでますね」

リインフォース・アインスがそういう。

するとその報告を受けたミスリルの最高責任者たるもの、テレサ・テスタロッサ機関長はしゅんと肩を落とした。

「そうですか・・・残念です」

「そうですね、OSの解析は既に終わっています。あとは、ハードウェアの解析が終わればいいんですよね」

「はい、OSの解析結果、提出お願いします」

「ヤー」

警告音と共に、”ソニックダイバー”OS部の解析結果がリインフォースから送られてきた。

テッサはそれを開きながら、”スラム全焼事件”と呼ばれている事件のことを考える。

今開いているデータに記された機体は、その事件の時に確保したものだ。

そしてそのパイロットは次元漂流者。

機体の方はなかなか面白い構造をしているのでテッサは興味を寄せているのだが、それはともかく、同時に頭を悩ませていた。

機体の事は関係ない。

スラム全焼事件の時に主参加だったのは、深井零大尉、藤原優香中尉、雪風、白嵐、メリッサ・マオ大尉、クルツ・ウェーバー曹長、相良宗介曹長、そして、現在行方不明のシン・アスカ少佐。

高町少尉やクルセ准尉もそれに参加していた。

高町少尉ら4人には”不明機”の確保を目的に動いてもらったのだが。

とりあえず、スラム街全焼事件を引き起こした未知のタイプのデバイス・・・報告によれば”アズリエル”という名を持つデバイスのことを追うことにして、同時に漂流者たちの世界を探し、アスカ少佐の居場所を探さなければならなかった。

別件では”白銀の書”のこともある。

・・・”騎士王の書”の主にも協力をお願いしようか。

テッサは手元のカップを手に取る。

とりあえず、問題は沢山ある。

それらをすべて処理しなくてはならない。

しかし情報が足りない。

「今こそが、特殊戦の本領発揮、ですかね」

テッサは小さく呟いた。



「うぁ・・・」

シン・アスカは1人でげんなりと肩を落とした。

場所は501統合戦闘航空団”ストライクウィッチーズ”の基地、ブリタリア基地である。

細かく言えば、その基地の食堂。

<大丈夫ですか?>

デバイス”エデン”がいつも通りのマシンボイスで言ってくる。

「ああ・・・一応は」

シンはそう答えながら震える身体を押さえつけた。

周りにはブルマなり水着なりしか下にはいていない少女たち。

流石に、日常でこれは・・・。

彼女たちが装備する”ストライカーユニット”にはスカートがあると邪魔になるから脱いで戦闘にでているのかと思った。

だが、日常でもスカートをはかないのか・・・。

シンは溜息を1つ。

「大丈夫でしょうか、アスカ少佐」

リネット・ビショップ軍曹が上目遣いに気遣ってくる。

雪風や白嵐のように頬を紅に染めて、蒼く空き通った瞳がシンの顔を映す。

「・・・あ、ああ」

辛うじてそう答え、肩をもう一度落とした。

こういうときはゆっくりと空でも流していたいものだ。

ここは居づらい、男には。

というわけで、場所が変わり、滑走路。

「行くぞ、エデン」

<アイマム、セットアップ>

「?」

傍らでストライカー装備で待機している坂本少佐が首をかしげた。

途端、あたりは赤い魔力光に包まれた。

坂本少佐は咄嗟に身を固くして構えつつ、目を細める。

爆音と赤い光が視聴覚の制御を奪い、装備したストライカーが異常和音を奏でる。

飛び退く意識を必死になって引きとめているうちに、光と風はやんでいた。

そしてそこには、あの時の、出会った時に装備していた”バリアジャケット”と呼ばれる姿になったシンの姿。

「いつ、きがえ――「あ?今」」

少佐の問いにシンが何気なくそう答え、”エデン”というらしい武器に話をかけた。

「さてと、行くぞ、エデン」

<アイマム>

シンは滑走路のアスファルトを蹴った。

上昇。

「なあっ!?」

少佐の驚く声が聞こえるが、聞き流してシンは雲の上を突っ切る。

さらに上昇。

ストライカーの最大高度を軽くこえて、眼下には雲海、頭上には数々の星が光る空域まで上がった。

優香や零がもっとも得意とする高度だ。

ここは、魔導師や航空機には高すぎて、次元航行船やロケットには低すぎる、天と地の狭間の空間だとシンは思う。

確か、そのような感想は昔特殊戦にいた軍医、エディス・フォス大尉という女性も言っていたらしい。

もっともだ、確かにその通り。

シンはそう呟いて、ゆっくりと空を飛んだ。

『アスカ少佐!』

「どうした?」

坂本少佐からの通信にそう返す。

『お前、今、何処を飛んでいる・・・』

「空。・・・ここは特殊戦機の空域だな」

『特殊戦機?』

「なんでもない」

チャント、念話以外の通信手段を遮断。

無線でかれこれと根掘り葉掘り質問されるのはごめんだ。

そう思いつつ、シンは空を仰いだ。

「ん?」

拡大ツールの縮尺最大にしてまじまじとそれを眺めた。

魔導師。

魔導師と思われる人間がそこに滞空していた。

「・・・イヴェン」

目の前の魔導師、少女は頷いた。

力強く、元気良く頷いた。

イヴェン・フォン・シュタエイン、それが彼女の名前。

「シンさん、その・・・ごめんなさい!」

ぺこりと金髪を勢い良く振って頭を下げるイヴェン。

「ごめんなさいって・・・何のことだ?」

「えっと・・・貴方を、この世界に連れてきちゃったこと・・・ごめんしゃい、ほんと・・・ごめんさい」

しゅんと肩を落として、俯いて呟くようにイヴェンが言う。

シンはそんな彼女に接近して、笑みを作ってやった。

「・・・っ!」

「大丈夫だ、イヴェン」

涙を浮かべてシンを見上げるイヴェン。

シンは力強く頷いてやった。



何か気配を感じて深井零大尉は顔を上げた。

振り向いてみても、首を傾げる白瀬流香少尉の姿だけだ。

ここ、フラッグ情報管理係第一小隊に戻ってきてから4日目。

テスタロッサ機関長からの命令によりVSSからここにいる白瀬少尉を引き抜いて、こうして行動を共にしている。

何故引き抜いたのかは、不明だ。

「どうしました?大尉」

「いや」

零は止めていた足を再び動かし始めて、白瀬少尉に分からない程度に眉を顰めた。

何か気配を感じた。

ここには少尉以外だれもいない。

つまり遍在とも呼ばれるレアスキル”幻想無限”で作り出したこの身体が感じている事ではなく、”本物の身体”が感じている事ということ。

まさか、あの場所に行く物好きがいるとは思わなかったが、実際にいたらしい。

恐らくこの考えは同士である藤原優香中尉も持っていることだろう。

ま、聖王のことだから抜け目無く騎士を配置して、眠りに付いた事だろう。

零は止めていた足を再び動かす。

とりあえず、本物が目覚めない事を祈ろう。

今目覚めては、いろいろと困る。

零は無言で角を曲がった。



インテグラ・ツェリル・ルッテル・グランガイツ。

私とカリンの姉で、グランガイツ家の当主”だった”ヒト。

アリアとゼロと呼ばれていた伝説の騎士を従え、聖王に跪いた人物だ。

今、その姉が私の前にいる。

ベルカ対ミッドチルダの最終戦、”長の戦”と呼ばれる大戦に参加し、戦死したと聞いていた。

だけど、ちがった。

聖王は自身の従える7人の騎士と、アリアとゼロを、自身を犠牲にしてまでも守っていたのだ。

「フィーリス、ここ数百年で蓄えた力はそんなものか」

槍の穂先を私――白銀の書の守護騎士アイーダに向け、低く男らしい、太い声で言い放った。

貴方は相変わらず、強いですね。

心の中でそう思いながら、アイーダはじっと騎士インテグラを見る。

彼女の纏った甲冑は煤もかぶらず、ピカピカと輝いている。

顔も髪も汚れてなどいない、綺麗だ。

汚れている、といえば、彼女が手にしている2本の槍だけだ。

槍の穂先から垂れ落ちる真紅の液体。

それが、自分のものであることは、自身の身体を見なくても分かる。

アイーダは手にした杖を硬く握り締め、自分の姉を睨んだ。

「・・・何か、あるのか。
 だから、力を振るうことが出来ずにいる。ソレは何故か?簡単だ。お前が、迷っているからだ」

「っ!?」

インテグラが口を開く。

その言葉はアイーダの心を激しく揺らした。

その言葉通り、私は今、迷っているのだ。

ほんとに主のいう事を聞いていて良いのだろうか、他人をこれ以上巻き込んでよいのだろうか、と。

だがそれは、私以外の白銀の書守護プログラムにもいえることだろう。

つまり、シンシアやレオン、エイダやルシーダはともかく、あのアリシオンでさえが迷っているという事。

感情に流されて何かと口を出すシンシアや、不服ながらも従うレオン、エイダ、二つ返事でめんどくさそうに仕事をこなすルシーダは、迷っていると知っている。

レオンやエイダはまだ口にこそ出してはいないが、シンシアは主を除いた守護プログラムたちに迷いを打ち明けていたな、とアイーダは思い出す。

「図星か?」

すると騎士インテグラは――インテ姉は頬を緩めて、笑ってくれた。

笑い、といっても微笑程度だが。

アイーダは自分の頬が赤く染まっているのだろうと思いつつ、驚きの眼差しを彼女に向けていた。

シンシアは、隣で倒れて眠っている。

ただ、インテ姉に蹴られただけで、気絶してしまったのだ。

「・・・ん・・・」

ああ、今頃になって神経の各種機関が働き出した。

体が今までにない程の悲鳴を上げる。

両肩からあふれる血、わき腹から流れる赤い血。

それらが、無機質な床を美しく、ずっと見ていれば酔うほど、それは美しく、赤く染め上げた。

「私でよければ、相談に乗るけど・・・どうする?」

砕けた口調でインテ姉が語りかけてきた。

アイーダは、フィーリス・レルデル・ルッテル・グランガイツは、目尻に塩辛い液体を滲ませて、自らの姉を見上げた。



目覚めようとしている、私が。

ふと曇った空を見上げて、彼女はそう気付いた。

そろそろ、引き上げた方がよいのだろうか。

魔力供給に関しては”ヴァルナ”があるからほぼ問題ないので戻る必要はない。

むしろ、戻ったら危ない。

ヴァルナの生み出す膨大な、無限の魔力は本来、ヒトのリンカー・コアは受け切れない。

”半人半妖”も、例外ではない。

では、何故私は生きていられるのか?

それは、私の、この身体があるからだ。

”幻想無限”。

それによって作り出された、魔力思念体。

魔力で生み出した、かりそめの命。

いわば、魔力義体だ。

使い心地は義体というよりクローンのソレに近いが、私的には義体のほうが近いと思う。

クローンは体の能力の細部まで再現可能だが、義体は精々半分の能力が限度だ。

それに、クローンの場合は必要のないメンテナンス等が、義体には必要なのだ。

この身体は、メンテナンスがいる。

そう、この身体はリミッターであり、放熱索ならぬ放魔索だ。

この身体が無ければ、自分が本体にいれば、殆ど弄っていないリンカー・コアが負荷を長時間受けて壊れてしまう。

ああ、さっさと次の対策にでなくては。

それは”使い魔作成”。

それも、この今使っている自分の身体の維持魔力分だけ。

一匹どころではない。

フェイトのアルフやプレシア博士のリニスクラスの使い魔なら五匹はザラではない。

溜息をつきたくなってしまう。

藤原優香中尉は肩を落として、とぼとぼと殺風景な通路を歩いた。

「む・・・」

何処か近くに、シンの、あの特徴のある魔力光が見えた気がした。

近く、とはいうものの、世界単位での話であるが。

魔力光が確かに見えた気がしたが、恐らく、私がシンの魔力を感じた時にさっと連想してしまったのだろう、無意識下で彼の魔力光が近くに存在すると連想したのだ。

これはこれは、もしかすれば、管理外世界だ。

しかもそこで魔法が発達、しかも戦争状態であれば、わたしたちミスリルが動くしかないではないか。

管理局は、スカリエッティ事件後の、特殊戦やザフト、テッサを交えた会議で”原則管理外世界には介入しない、”新世界の調査は特殊戦やテッサが束ねていた時空管理局時空管理特務隊の仕事とすることを決めたのだ。

今も時空管理局時空管理特務隊は存続しているが、あくまで形式上となってきている。

つまり、我々ミスリルがわざわざ介入せざるを得ないという事だ。

「・・・まったく、めんどくさい仕事増やしてくれちゃって」

優香は思わず1人ごちていた。

その言葉を聴いたらしいアルテアが、ちょこんと首をかしげて優香を見ていた。

きらきらと照明に照らされて輝く金髪が綺麗だった。

「めんどくさいって?」

「シンのことよ。近くに彼の魔力を感じたわ」

投げやりに優香が言うと、アルテアは黙り込んで、頭を悩ませてしまった。

恐らくアルテアたちに出番は無いのだろうが、それでも考えるアルテアに少々感心しながら優香はだまって彼女を見ていた。

「大丈夫よ、そのあたりの仕事は私ら特殊戦の仕事だから」

「うん・・・」

俯いて通路を歩くアルテアに笑みを見せてやりながら、どんな世界なのだろう、と考えた。

そして、何故そんな事を考えるのかと、ふと不思議に思った。

私には殆ど関係なさそうなのに。



坂本少佐が限界高度を大幅に超えてやってきてしまった。

非力な扶桑製のストライカーでよくぞココまでこれたな、と他の者たちは言うだろう。

「うわ・・・・」

やはり不調になってしまったのだろう、彼女のストライカーから異様な臭いと音がする。

シンはレシプロ機で上ってきた少佐に感嘆した声を出した。

「はぁ、はぁ・・・お前、本当に人間か?」

「はい、人間ですけど」

といってもコーディネーターだけど、と心の中で付け加えるシン。

息を切らせながら坂本少佐はシンの瞳をまっすぐ見据える。

不調和音を奏でながらも、主を支えるために必死になっている白いストライカーの事も気にすることなく、まっすぐシンの、真っ赤な瞳を見ていた。

「・・・なんですか」

お前、ストライカーなしで飛べるだけでも異質なのに、この高度まで平気な顔をして上がったのだぞ、どうなっているんだ。

坂本少佐は目でそう問いかけた。

「・・・あ~、それは、その・・・魔法の仕組みが違うって言うか、なんていうか・・・」

シンは寒い空の上で冷や汗をかいた。

どうやってはぐらかせばいいのだ?この状況ってどう打開すればいいのだ?

シンは頸で声量を強化しながらそう考えるが、残念、思い浮かばない。

「・・・・・まぁ、言いたくないのなら、それでもいいさ」

ふと顔を背けて、少佐が溜息混じりに口を開いた。

顔に微笑を浮かべつつ、少佐は軍刀で、隠れていたイヴェンをさし、言った。

「それより聞きたいのは、そこにいる娘の事だ」

シンとイヴェンはどきりと心臓が高鳴った事に気付く。

やば、ばれてるし。

イヴェンは雲を突き抜けて上ってくる。

「なんで、わかったんですか・・・」

「さっき、妙な気配を感じたし、さっき顔をひょっこり出してた」

「・・・イヴェン」

「ごめんなさい・・・しゃい」

肩を落として俯くイヴェン。

金色の髪が風に乗って揺れる。

「いや、別にいいんだ。むしろ会っておいたほうがよかったかもしれないしな」

シンは彼女の頭を撫でてやりながら、そう返事を返す。

すると、”本当?”と上目遣いに目線でシンに問いかけた。

シンは頷いてやる。

するとイヴェンは満足気に笑ってくれた。

「・・・えっと、おれと同じ世界から来た子だ」

シンは少佐に向き直り、イヴェンの肩を叩いてそう言った。

すると、少佐の眉間にしわが寄った。

ぎくりとシンは動きを止めた。

やばいぞ、これは、この表情は――

「お前は、そんな奴だったのか。
 そうか、お前のことがよぉ~く、わかったぞ」

どす黒いオーラを漂わせ、少佐が呟くように言う。

良く見ると軍刀がカタカタと揺れている。わなわなと身体を震わせていた。

まずい、これは。

シンは過去の経験からすぐにそう直感した。

「うおおおお!」

シンが背を凍らせると、雄たけびを上げて少佐が突っ込んできた。軍刀はしっかり振り上げておられる。

嫌な汗が凍った背を伝っていく。


ばこん


あれ?

少佐が落下していく。

何故?魔力切れ?

いや――シンは背が背が凍るばかりでなく、足がすくんでいる事に気付く。

少佐のストライカーが黒煙を噴出し、青い空に絵を書いていた。



「貴方・・・だれ?」

ステラは後退していく敵に目を向けず、まず真っ先に目の前の少女に問う。

少女の長い栗色の髪が、風に乗ってふわふわとゆれて、眩く輝く。

それに負けない輝きを放つ、少女が握っている銃型デバイスが深井大尉のデバイスと似ている。

「マドラックス。”ナンタケットのおじさん”から依頼されて、貴方たちを援護するために来た」

彼女の表情はちょうど月を背にしているため、陰になり、読み取る事ができない。

ステラは、同じ任務についている、フェイトとレイスにこのことを伝えながら、じっとマドラックスと名乗った少女を凝視した。

「そんなに見なくても大丈夫でしょ」

含み笑いをもらしながらマドラックスがそう言ってくる。

ステラはそのことに少々むっとしながら彼女を睨んだ。

(ナンタケットの・・・おじさん?)

『テスタロッサ嬢のことだな、彼女のコードネームだ』

レイスがフェイトとステラの疑問に答える。

「テッサ、から・・・?」

思わず口に出した。

テッサから指令を受けてきた少女。

私たちへの増援。

頷く彼女を見ながら、フェイトとレイスも後ろに来たのを感じた。



「なァ・・・・っ!?」

目を開けると、真っ赤な瞳に見つめられてて驚いた。

そして、空を飛んでいる事を知る。

・・・そうだ、私は限界高度を軽々と超えて、ストライカー壊して堕ちて―――

助けてもらった。

同僚、つまりは少女たちにならば経験はあるが、目の前の、”男”には抱かれた事はない。

坂本少佐は顔を真っ赤にした。

口をパクパクとさせる。

「怪我はないか?」

赤い瞳が心配そうに覗き込む。

少佐にはそれがとても恥ずかしく思えて、慌ててそっぽを向き、「大丈夫だ」と答える。

しかし、基地に帰るまではこうしてもらうほかないようだ。

ストライカーは両足とも壊れていて、プロペラがからからとみっともない音を立てて回るのみだった。

「飛ぶのは・・・無理か。
 このまま帰るが問題ないよな」

「あ、ああ」

少佐が顔を赤くしたまま、答える。

答える声には覇気ががなかった。

シン・アスカの体温が伝わってくる。

そして、自分の身体が赤く火照る。

身体が熱かった。

ココは空の上だ、それなりに気温は低い。

だが、身体が冷える事はなかった。

「それじゃ、帰るぞ」

シンは少佐を抱いて宙を飛んだ。

頬を流れていく風が、生暖かく感じられる。

いつもなら、冷たいと思うのに。

すると、全く不意に、目の前に半透明の物体が現れた。

「ん?・・・少佐、ネウロイだ」

シンがその物体を見て言った。

少佐も習ってそれを覗き込んだ。

蒼い背景に、真っ赤な敵シンボルブリップがあった。

「どうする?」

再び赤い瞳が覗き込んできたことに再び慌てながらも、少佐は指示を口に出す。

「つ、通信は繋がるなっ!?増援を呼べ!こちらでは対処できないぃ!」

声が震えていて、何時もよりきつい声だった。

シンはそれに驚いた表情を見せる。

「・・・なるほど、ある意味でなのはたちにそっくりだ」

”なのは”とは、だれだろう。

少佐がそう考えている間、シンは少佐の言うところの”半透明の物体”――空間モニタを操作、ブリタリア基地に繋ぐ。

「こちらシンだ」

『こちらブリタリア基地。・・・今何処飛んでるの?』

ミーナ中佐の柔らか味のある声が聞こえてくる。

しかし、よくよく思えばこの男にインカムを渡していなかったな、と少佐はそれで思い出す。

インカムなしでどうやって通信を繋いだのだ?この半透明の物体の何処がマイクの役割を果たすのだろうか。

最初に会った時も、そうだったな、と少佐はシンの顔を見ながら思った。

「グリット24地区だ、ネウロイを視認。
 坂本少佐はストライカーを損傷、飛べない。救援を頼めるか?」

『美緒が・・・!?大丈夫なの!?』

「おれが抱えて飛んでる。大丈夫だ」

『そう、よかった』

ミーナ中佐の深い溜息が聞こえる。

『じゃあ、今増援を送るわ』

「ああ、サンキュ。おれたちはこのまま帰って大丈夫だな」

『ええ』

通信が切れる。

シンは空間モニタを閉じて、速度を上げた。



「ったく、ココのワーニングも多いんだね!」

走りながらアルテアが不平をこぼす。

「そうそう!何で私たちがいく組織ってこんなにワーニングが多いわけ!?
 今週はもう9回目だよ、2日しか経ってないのにぃ」

「しょうがないわよ、ついでにいうと今の私たちは傭兵で、傭兵といえば安い給料でハードスケジュールである事に定評があるんだし」

優香が溜息混じりにぼやくと、なのはが”ぷう”と頬を膨らませた。

なのはの横を走る雪風が、いたずら半分でその頬を突っついてみる。

すると、ぷぅ、という気の抜けた音と共に、なのはの口から空気が漏れた。

「ちょっとぉ、何するの?雪ちゃん」

「悪戯ですがなにか?」

笑って返す雪風に不機嫌の顔を見せながら、なのはは目線を前に戻した。

「にしても、ついていく上官間違えたかな・・・」

「間違えた?何、そんなにはやてが嫌?」

「そんな事無いんだけど・・・」

優香の問いに言葉を詰まらせるなのは。

仮にも幼馴染で、親友の上官に”貴方の指揮は嫌”とは言えない事情もあるのだ。

優香が作戦室に飛び込む。

なのはたちもソレに続き、作戦室へ飛び込んだ。

そして別室のコンソールに移動し、腰掛けた。

途中、隊長がなにか言っていた気がしたがなのはたちは無視した。

『敵はフェタオです。
 仮想商業ビルに立てこもっている模様』

サポートを担当する瀬川みのりの声を聞きながら、なのはは首筋にあるブレインチップの挿入口に、ケーブルを接続。

視界の中に、コネクト開始の表示が出たのを確認。

『で、例の赤い奴なのかしら』

『不明です。その辺は目視確認お願いします』

『不明・・・?何故だ』

優香の問いへのみのりの返答に不満を感じたのだろう、珍しく零がみのりへ問う。

『殆どの監視カメラにジャミングがかけられているんです。恐らくマスキング、でしょう。
 すみません、・・・・アルテアさん、没入タイミングは?』

『任せるよ、此方であわせる』

なのはは疑問を覚えながら、ウィンドウを全て閉じた。

やがて、カウントが始まった。

3、2、1―――

次の瞬間、身体が浮いているかのような感覚に襲われた。

しかしそれは一瞬で、すぐに”ずしん”とくる身体の重さを感じた。

手に持った大型狙撃砲を両手に抱え、着地。

遼機も同じように着地。

『綾音さん、私から離れないでよ』

アルテアの声がそう言っていた。

編成はアルテアの就任後に行われた会議で、基本固定された。

フロントアタッカーはアルテア、綾音、洋介で固定。

センターガードは零となのは、洋介でガードウィングは優香、透、カイラで固定し、フルバックは変わらず白嵐と雪風だ。

『・・・』

綾音はアルテアに返事を返さなかった。

アルテアは、”フムン”と溜息をつきつつ、手に持った斧を真っ直ぐ敵陣へ向けた。

『じゃ、私たちフロントが正面から突っ込む。センターガードはそれの援護。
 ガードウィングは構造体裏に回って、全方位をカバー。それでいい?』

『了解、大尉殿♪』

優香がちゃらけ半分に答え、他のものもそれに続き”了解”と応答した。

フェイスモニタに映るアルテアはそれに頷いて答え、『各機散開、オープンコンバット』と告げた。

即座に各機は所定の持ち場へ急ぐべく、走り出す。

敵機はすでに気付いていたらしく、シュミクラムが構造体入り口に待ち構えている。

『撃てぇぇっ!』

アルテアの号令に続き、爆音が響く。

後方に下がるなのはたちにもその爆音は聞こえた。

巨大な狙撃銃を構える、地響きのお陰で照準がぶれる。

それでも隣の零はらくらくと敵機頭部に弾を当てた。

「私、砲撃の方が得意なんだけど・・・」

トリガーを引きながらなのはは呟いた。

なのはが放った弾は敵機左肩にあたる。

敵機は左腕を動かそうとするが、左腕はぴくりとも動かなかった。

すると、敵機は左肩をパージ。

きっと、痛かっただろうな、などとなのはは思いながら止めを刺すべく再び照準。

『そうか、ま、おれには関係ない。精々頑張ってくれ』

零はさして興味なさそうに答えると、トリガーを引く。

敵機頭部破壊、爆散。

再び照準、発射、敵機頭部命中、目標破壊。

それを黙々と繰り返す彼の機体を、まじまじと眺める洋介機。

今回はミサイルランチャー装備という、センターガードの中では比較的扱いやすい武装で、彼の機体はフラッグ仕様のシュミクラム”クルセイダー”をベースに零となのは、雪風が手を加えたワンオフ機だ。

柏木洋介の機体”クルセイダー・ガンナー”の開発当初、零は”おれには関係ない”と開発に加わる気は全くなかったらしいが、何故か開発に参加した。

そして、完成後”メイヴ・アイン”にガンナーのシステムを流用した物を組み込んだのは、いまだに謎であったりする。

なのははそんな彼の機体を見やり、再び照準の作業に戻る。

彼女が操る”レイジング・ライト”の仕様は、実機のメイヴ砲戦仕様”メイヴ・エクセリオン”をベースに作られている。

違う点は、リフターのブレードが減っていたり、関節にクラスターが装備されたり、優香が好んで使う”エースヴィザード”を元に作られたドラグーンが搭載されていたりするだけだ。

なのははトリガーを引く。

緑色の煙の中に敵影を見つけ、照準。

途端、後方で爆音。

そして、6つのミサイルが飛んでいく。

クルセイダー・ガンナーが放ったものだ。

そして前方で爆煙と爆音。

全弾命中。

『あら、なかなかやるわね』

『へっ、甘く見るなよ』

カイラ・キルステンの拍子抜けした声と、洋介の陽気な声が耳に響く。

『カイラ、おしゃべりしてないで、さっさと敵さんを片しましょ』

『・・・わかったわよ』

優香の微妙に怖いお咎めがあり、カイラが気のなさそうな返事を上げ、沈黙した。

なのははカイラの沈黙と同時にトリガーを引いた。

銃声と共に弾が狙撃銃から吐き出される。

そして敵機頭部に命中、爆散。

『それにしても、数が多いわね・・・カイラッ、後ろッ!』

『きゃっ・・・!』

優香が叫ぶように警告を飛ばし、カイラがちいさな悲鳴を上げる。直後に爆音。

『カイラ機左脚部損傷、戦闘に支障なし』

雪風の冷たい声がそう伝えてくる。

『綾音っ!?』

今度はアルテアの悲鳴に似た叫びが耳に入った。

レーダーブリップには――確かに綾音機のブリップがない。

構造物内で戦うフロントアタッカー隊にはブリップが2つしかない。

そのうち1つは、自分たちの後ろ。

『・・・洋介くん、自分のポジション、忘れちゃったのかな?』

知らないうちになのはの声には険が混じっていた。



ここは、どこでしょうか。

自分を担いで道を歩く女性が不意に口を開いた。

はっきりしていく意識の中で、彼女の呟きと同じ疑問を彼は抱いた。

静城市と同じ、太陽の光を通すことのない灰色の雲が頭上に広がり、空気は排ガス臭い。

自分が知る静城市と違う点は、巨大な建築物”ミッドスパイア”が何処を見てもない事、ビルや屋台は寂れてはいるものの、町には活気があることだ。

「ん・・・。どこだ、ここ・・・」

「中尉、目が覚めましたか」

中尉――そうか、おれは今学生ではないんだっけ。

今は傭兵で、凄腕(ホットドガー)って、目の前の霧島レイン少尉が言ってたな。

彼はぼんやりそう考えながら、周りを見渡す。

「あの・・・動けるのなら降りて頂けませんか?」

その声を聞いて視線を戻すと、改めて自分がレインという女性に担がれている事を知る。

重そうに自分の身体を担ぐレインの蒼い瞳が、忙しげに右へ左へとうごく。

「・・・?」

レインに担がれている門倉甲は首を傾げる。

するとレインの瞳の動きが止まった。

「・・・視聴覚モードが使えない・・・?」

「え?」

レインの呟きに、思わず甲は聞き返した。

視聴覚モードが使えないだって?

そんな馬鹿な、と甲は思う。

「中尉、視聴覚モードで検索をかけてみてください」

「ん?ああ、わかった」

甲は訝しげに眉を顰めながら言われたとおり視聴覚モードでメニューを呼び出した。

左側に並ぶ、見慣れないアイコン。

苦労してネット接続のアイコンを探し出し、それを起動。

すると、――


回線の接続を確認してください。
または、お近くのコンソール(操作席)へ御移動願います。・・・


何故セカンドのブレインチップにこのような表示が出るのだろう。

「デバイスが対応していない・・・?」

甲を担いだままレインはぶつぶつと何かを呟いていた。

思案に明け暮れているのか、甲を担いでいる事も忘れているようだ。

「あの~、レイン?」

邪魔をするのも悪いのかな、などと甲は考えたが結局、意を決して声を出した。

するとレインは初めてその存在に気付いたとでも言いたげに甲の顔を蒼い瞳に映した。

「おろしてくれるかな、レイン」

「あ・・・・りょ、了解しました」

レインは甲を下ろすべく立ち止まる。

甲の手を離す、すると甲はアスファルトに頭を打ち付けてしまった。

「ってぇ・・・」

彼は頭をさすりつつ頭を上げる。

今のは痛かった、頭がくらくらする、などと甲は呟く。

レインの方を見ると、彼女は冷たい微笑を浮かべて手を差し伸べていた。

「ありがと・・・」

「いえ」

レインの手を取って立ち上がる甲。

そして目の前のモニタに目を移す。

『現在、フラッグ情報管理係第一小隊とフェタオが、ジオトロン社構造体で戦闘を繰り広げております。――』

無表情にアナウンサーがそう言っていた。

そして、あたりの喧騒に耳を傾けてみた。

「ジオトロンだって?あらまぁ、こりゃフラッグも大変だわ」

「フェタオって最近あちこちでテロ起こしてるよね」

「そうよねー、お陰で安心して没入できないわよ、ったく。フラッグももっとやっちゃえばいいのに」

再び歩き出す。

フラッグとは一体何の事だろうか。

フェタオはテロ起こしてるなど噂されていることから、恐らくフラッグとは治安維持目的の組織なのだろうか。

甲は手を引いて歩くレインの後姿を見やる。

この寂れた雰囲気のビルの街の中では目立つ金髪が規則正しいリズムを刻んでいる。

甲は続いて空を見上げた。

灰色の雲、”あの頃”の蒼い空はもう見ることは出来ないのだろうか。

ぼんやりとそう考えながら道を歩いていると、不意にレインが立ち止まった。

「中尉」

「・・・?なんだ?」

「どこかでコンソールを拝借し没入してみたいのですが」

レインの冷徹な瞳が寂れたビルに向かう。

甲は黙って頷いた。



「・・・あれ?」

白嵐は首をかしげた。

シュミクラムが二機、没入してきた。

照合、一機は自身の操るシュミクラムの元型”アイギスガード”、もう一機はカスタマイズ機だ。

たしか、この世界にアイギスガードなんてサポート機はなかったはずだ。

『アイギスガード?なんで?』

雪風も見つけたらしく、疑問符を飛ばしていた。

「あのアイギスガード、少し正規版とは違うね。
 たとえば腰に装備している槍とか」

『フレアも少し違うかな』

雪風の言うとおり、フレアを発射する大型銃砲が少し小さかった。

隣のカスタマイズ機は、透機と同じように中・近戦で輝きそうだ。

だが、遠・中・近、どれをとってもバランスがよさそうにも見えた。

『アイギスガードだあっ!?』

アルテアの怒鳴り声が耳の中できいんと響いた。

『だれが乗ってるのか、確認してもらえるかな、雪白ちゃん?』

なのはからついに”雪白ちゃん”と、一緒に呼ばれてしまったサポート二人はむっと眉を顰めた。

それでも仕事はちゃんとやる。

流石にベイダは使わないが、相手のフェイスモニタを出すべくニセコマンドを相手に送りつける。

あとはシュミクラムのプログラムが勝手に開いてくれる――はずだ。

しかし、現れない。

もう一度送信。

やっぱり、現れなかった。

『あのサポート、いい腕してる。
 普通ならこのコマンドで十分なのに』

雪風が感心している。

もちろん、私も、と白嵐は思いつつ、別の方法を試してみる。

シュミクラムユーザーはどこでダイブしたのだろう。

事前に街中にばら撒いといたサーチャーを使って探す。

不審者、不審者―――。

白嵐の処理能力は、さすが実機メイヴ汎用近戦型なだけあって、非常に高い。

そのため、その膨大な数のサーチャーから不審者を探し出すという処理を数瞬で終えてしまった。

「廃ビルのコンソールを使って没入してきたのかな」

『この世界には廃ビルでも生きているコンソールあるんだ』

なのはが感嘆した声を漏らす。

『サーチャーの情報を送ってくれる?』

アルテアは激しい戦闘機動を繰り返しているのだろう、少々息遣いが激しかった。

白嵐は”ヤー”と返事を返しながら、先ほど該当した廃ビルを巡回させているサーチャーの視覚、聴覚の情報を送る。

サーチャーに映っているのは、目を閉じてコンソールに背を預けている男女。

1人は知っている顔だった。

『レイン?』

アルテアの疑問符が飛ぶ。

『レインだって?ちょっと、ほんと?』

優香も会話に乗ってきた。

白嵐は前にあった時のレイン使用機のデータを呼び出す。

現れたのは、蒼くランス(槍)のみを装備したシュミクラムの画像。

それと、目の前の”アイギスガード”を比較する。

頭部や脚部の基本構造は同じであるようだ。

無論、それは強化されていたし、砲身なども追加されているので分かりにくい。

がらっと印象が変わっていた。近距離オンリーの機体が砲撃戦仕様に無理矢理変更されているようにも見える。

「どうする?テスタロッサ大尉」

『・・・とりあえず、名を聞いて。
 それからどうするかを決める。民間人なら安全な空間まで案内してあげてね。
 軍人や傭兵だったら・・・・判断は私がする』

「了解」

どちらかともなく雪風と白嵐は顔を見合わせた。

「・・・雪ちゃん、指揮おねがい」

『わかってるよ、シロ』

雪風は頷きながら言った。

白嵐は頷き返してから後方の不明機に向かって走り始めた。



「ええ~、そんな、飛べないんですかー!」

テッサの執務室に、馬鹿でかい少女の声が響いた。

「ちょっと・・・うっさい、音羽!」

「もう少し静かにしたほうが――「だってええええっ!」」

桜野音羽は、苛立たしげに警告を飛ばす少女の事を無視して、知的で落ち着いた少女の声をさえぎり、またも大きな声を発した。

テッサは耳を押さえて、彼女たちは何故あれに乗ってたのだろうと考えた。

とりあえず、軍にスカウト、または志願してあの機体、ソニックダイバーに乗ったらしいが、何故彼女たちが所属する部隊はわざわざスカウトしたのだろう。

テストなどに使われる部隊がちゃんとあるはずなのに。

それとも学徒兵というのがあるのだろうか。

「あの、静かにしていただけませんか、桜野さん」

「だってええ、ゼロと一緒に飛べなくなっちゃったんでしょっ!?」

「いえ、まだ完全に壊れたわけではありません。
 ただ、あのまま飛べば機体が壊れていたでしょうね」

「そんなあああ」

先ほどから叫びまくる桜野音羽はがっくりとうな垂れた。

それをテッサは苦笑して見やった。

「あの、何故ですか?
 ソニックダイバーは高高度でも耐える構造を持っているはずですが」

知的な印象の持ち主、園宮可憐が控えめに手を上げて質問する。

「確かに、その通りです。
 ですがその・・・何といえばいいんでしょう。
 ここミッドチルダ、という世界は魔法技術が発達していると以前申し上げましたよね?」

「はい」

テッサは手元の紅茶をすする。

「ミッドチルダの空気には窒素や酸素以外に、魔力素なるものが存在します。
 我々魔導師はその魔力素を利用して魔法を行使するんです」

傍らに控えるリインフォースが言葉を引き継いだ。

「本来ならデバイスとしての機能がなければ痛む、という事はめったに起きないのです。
 ですが、あの機体、あの”戦闘知性体”はデバイスとしての機能があった。
 あなた方の言葉を信じれば、此方の世界に転移した時にデバイスとしての能力が与えられたと考えられます。
 普通ならないはずです。一部の例外を除いて。
 戦闘機がユニゾンデバイスに変化、または実機をベースに作られたブラックテクノロジーばかりのデバイスで合ったりというパターンが殆どなので、推測の域を超えていませんが、恐らくそうでしょう」

「転移時に、新たなプログラムがSDにインストールされた、と?」

「はい。だれがやったかは特定できませんけれど」

第13航空団所属の少女たちは沈黙。

必死に何かを考えているのか、とテッサは思いながら紅茶のカップをソーサーの上に置く。

「まだ、飛びたいですよね?」

テッサは紅茶のカップから目を離して少女たちに問いかけた。

はっと5人の少女たちが一斉に顔を上げて、目を光らせる。

「貴方たちのリンカー・コアはまだ成長し続けています。
 貴方たちが、ソニック・ダイバーと呼ぶそれのデバイス機能を強化すれば、まだ使用できます。
 ですがその場合、私たちミスリルに入隊して頂かなければいけません。
 管理世界では原則質量兵器は禁止、あの機体はデバイス機能を備えているとはいえ、質量兵器に変わりはありませんから」

「そうですか・・・ところで、管理局ってなんで質量兵器を禁止しているのですか」

瑛花がテッサの言葉にそう返す。

質量兵器が発達している世界の住民なら、当然疑問に思うだろうとテッサは思って頷いた。

「魔法はクリーンで人的被害を最小限に留められますし、魔導師になるには適性というのがあってそれも才能に左右されます。
 何が言いたいかというと、だれもが簡単に敵を殺せなくなるからです。
 引き金1つで簡単に人を傷つける質量兵器と、被害を最小限に留められる魔法、瑛花さんが仮に管理局の評議会議長だとしたら、どちらを選びますか?」

「え・・・」

瑛花は言葉をつまらせた。

他の少女たちも答えに困ったらしく、互いを見合わせたりする。

当然の事だとテッサは思いながらカップに口をつける。

重たい沈黙が過ぎていく。

「貴方たちは何故、軍人になったのですか。
 何故、力を手に入れたのですか?」

リインフォースがすがるような目で見やる少女たちにそう問いかける。

すると、音羽が真っ先に手を上げた。

「空が飛びたかったから」

「空を?何故ですか」

「夢だったんです、小さい頃からの」

夢――。

テッサはカップをソーサーに戻し、何故自分はこの世界に入ったのかと疑問に思った。

「私は・・・、みんなの役に立ちたかったんです」

音羽に継いで可憐が顔を赤くしながら言った。

なるほど、とテッサは何かに納得しつつ、次の答えを待った。

が、出てこなかった。

テッサは席を立つ。

「いかがなさいました?」

瑛花がテッサにそう問いかけた。

「考える時間が必要でしょう?お茶を楽しむ時間も」

それだけ言うとテッサはリインフォースを従えて部屋を出た。



帰ってこれた。

シンは安堵しながら高度を落とす。

抱きかかえたままの坂本少佐も安堵の溜息をついていた。

「少佐ぁ!ぶじですのっ!?」

着地するや否やペリーヌ・クロステルマン中尉が駆け寄ってくる。

それに続いてストライカーを装備した芳香やリーネがやってくる。

「よかったぁ」

「無事だったんですね」

新人ウィッチの芳香とリーネは安堵の溜息を漏らす。

同時に、肩も落とす。手に持っているのは10キロ以上ある銃。

「「うわああっ!?」」

案の定、二人はバランスを崩して前に倒れていって――

「あ」

シンと離れた坂本少佐の胸に芳香は、吸い込まれるように特攻した。

その場が騒然となった。

そして、静寂を断ち切ったのはペリーヌであった。

「ちょっとっ、チビ狸!」

「は・・・はいっ!」

少佐の胸から顔を引き離して、ぴしゃりと気をつけの姿勢をとる芳香。

リーネは涙目になりながら身を起こしていると、少佐が手を差し伸べた。

「しょ、少佐っ!?」

顔を真っ赤にしてまたもペリーヌはヒステリックに叫んだ。

「どうした、ペリーヌ」

「い、いえ!」

反論の言葉を捜しているのか、口を開かずに唸るペリーヌ。

少佐とシンはそれを困惑の眼差しで見つめていた。

シンの新天地での生活は、始まったばかりだった。

そして、毎日こんな事があるのかとシンはガックリと肩を落とした。

<大丈夫ですよ、ミスリルでも女性隊員は多かったですし。
 慣れれば大丈夫です、たぶん>

エデンがそんなシンに語りかけるのだった。



あとがき


ストライクウィッチーズ、書きにくいねえ。

さてと、なんか今回はただでさえ区切りが多いのに、さらに区切りが多くなってますねw

以後気をつけます・・・

サブタイはてきとうです。
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高校一年生演劇部所属。
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