*+ASTRAY+*

食べることとか大好き高校生のブログ。ツイッターのせいで変更滞り気味。SSあります。

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【短編】東方回顧録

長らく放置して申し訳ございませんでした。
ここ最近はついったーに常駐していることが多く、SSを書く時間もあまりなかったので遅くなりました。
今回あげるものは、授業中の課題として書いた東方projectの設定だけを借りた(つもり)のSSです。
サビおとし作品なので、少々いただけないところもあるかもですが、よろしくおねがいします。
今後も少しずつ、上げていけたらいいな……


*


1. 私と軍神

 私は昔から弱い人間だった。近所さんが飼っていた犬を見ただけで泣いて、いじめてくる子らになすがままにされ、悩み始めれば誰に話すことなく自分を傷つけた。大人になってからは、上司に顎で使われる駄目社員。溜まった鬱憤は飼っていた犬にぶち当てていた。あの、小さい頃に恐れたあの犬に対する鬱憤もそこに含まれている。
 そんな私に嫌気がさして、街に繰り出せば、自分の職場の賃金の安さに気付いた。とてもお洒落なブティックでモノを買えるような収入では、なかった。
 そこにまた嫌気がさして、ため息交じりに帰路についたある日。いつものように、古びた神社を突っ切って、痛んだ舗装路を足早に進んで古びた私の住まいへと足を進める。そんな時だった。
「おかしい」
 いつものように、右に、左へ、と細く古い街の迷宮を進んでいた筈なのだが、気付けば知らない森の中を歩いていた。ただ単に近所の林に迷い込んだだけならば、街灯の光が見えるだろうが、そんなちっぽけな光さえ見えなかった。足元は、劣化で痛んだ舗装路などではなく、ただの土だ。踏み固められた痕跡もない。どこにいても臭ってくる排気ガスさえ、気配がない。
 立ち止まって、辺りをぐるりと見回してみる。背の高い木が、うっそうと生い茂っていた。時間が遅いから真っ暗で、空から立派な満月が光を落としている。
「迷子かい?」
 ふと、誰かに声をかけられた。少女の声だろうか。しかし口調は荒々しく、酒やけでもしているのか、ハスキーな声だった。
「ふふん、その調子なら迷子だな」
 何故か嬉しそうに話す声は背後から聞こえた。振り返ってみる。
「……そういう君も迷子なのかい?」
 そこには案の定少女がいた。美しい黒髪で、手に杯と瓶を持っている少女だ。
 私はなるだけ優しい声で、続ける。
「それとも、この近くに街でもあるのかい?」
「一応村ならあるぜ。人間しか住めねぇけどな」
 少女は、私の問いに笑って答えた。そして、杯に注いた液体でのどを潤してから、「その様子じゃあやっぱり迷子なんじゃないか。人を迷子扱いするなんて酷いな」とさらに笑った。
「……ここはどこなんだい?」
 私の弱さからか、そのまま迷子であることを告げられず、質問した。しかしよく考えてみれば、この質問は迷子であることを告げている訳で、なぜ迷子だと言えなかったのだろうと、私は自分をあきれさせた。どうして私はこうも弱いのだろうか。
「ここはどこかって、そうだな……一種の檻、だな」
 少し考え込んでから、少女は告げた。ここは檻。入るのは、忘れ去られるのを恐れた者たちだ、と。そしてその忘れ去られるのを恐れた存在は。
「私たち神様や妖怪さ」
 杯に酒を注ぎ、彼女は続けた。
「最近の人間たちは決して古い神を信仰してくれないんだよ。特にあたしみたいな、力を司るような神はな」
 少女の名を、武之(たけの)水硬(みなかた)と言うそうだ。軍神建御雷と争い敗れた神、建御名方神(たけみなかたのかみ)、とは私が住んでいる世界での名前だ、とも補足を入れてくる。
「軍神といえば貴様らの長ともかかわりが深い建御雷で、私の信仰は薄くなっているってわけさ。わかったか青年」
 にっかと微笑んで、彼女は来た道を戻り始めた。黒い髪が弱い風に吹かれて広がる。本人は笑っていたが、私はどうも消化不良、というか妙に気になった。
 だから水硬の後を自然と追っていた。彼女しか頼る人物がいなかった、というのもある。
「ついてくるのかね青年」
 水硬は背を向けて歩きながら聞いてくる。相変わらず笑い交じりのようだった。
「いけないのかな」
「ま、私しか頼るやついねーもんな。なら話に付き合ってくれよ」
 少女は足を止めて振り返った。丸い目が獰猛な光を放って、私を放そうとはしなかった。




2.軍神と過去

 私は気づけばまったく人に知られることは無くなっていた。敵に敗れ、故郷の諏訪に戻っては来たが、現代に近づけば近づくほど、私の存在は諏訪神、守矢神社の面子の陰に隠れるようになっていった。
元々は、諏訪の地域の農作物を守る神として私は生まれた。そこから狩猟神へ、そして軍神へと姿を変えていったのだ。最終的には、伊勢の地で建御雷に敗れ、諏訪へと戻り、私が不在の間に民たちを困らせた魔物たちを討ち、軍神として、狩猟神としての信仰を集めるに至ったが、ついたレッテルは負け犬。徐々に信じられることはおろか、その存在でさえ薄れていくのだった。
やがてその信仰が消えてゆくのが分かった私は、無宗教時代となった今生きてゆくことができなくなった。だからこの地へとやってきて自らを檻の中へと閉じ込めた。忘れ去られ、存在が消えることを恐れて。
「軍神と呼ばれたもんだが……愚かだろう? 人と同じく神だっていずれ死ぬんだ。だが私は死を恐れたんだよ」
 私はたまたま迷子になっていた<外の人間>に語り、続ける。
 ここには、私と同じ神々や妖怪がやってくる。死を恐れた奴らが。そもそもここはそういう奴の為に造られた、隔離された世界だ。いや、世界自体は同じなのだ。世界の中に、壁で仕切られた隠し部屋があると言った方が正しいか。なかなか人間に対し扉が開かれないから、文明レベルはだいぶ低いが。
 その壁はある神社を境に四方数十キロに渡り造られている。壁は目に見ることはおろか、外側内側に関わらず人間がその存在に気づくことはできない。物体として存在するというかは、概念的な壁なんだろう。
 内側の人間は神々や妖怪を信仰しており、たとえ悪戯されようと積極的に倒しに来ることは無い。もっともやりすぎれば壁を管理する貧乏人や暇を持て余した魔法使いもどきが退治に来ることがあるけどな。
 話を戻すがそんな世界だからな。戦争など起きようはずもなく。至って平和で、暇を持て余した奴らがたびたび大小様々な騒ぎを起こしてはそれを祭りのように楽しんでいる。私自身もその騒ぎに乗じて遊んでいる。
「青年は楽しいかい? 外の世界でもみくちゃにされるのは」
「何が言いたいのかな。君たちは人に忘れられたら終わりってことなのはわかった。ここが特別な小部屋なのもわかった。で、そこからなんでそんな戦争だとか楽しむとかそんな話になったりしたんだい?」
 外から来た男は、首をかしげ質問を返してきた。私は一杯呑んでから話してやる。
「いいかい、青年。結局は神も妖怪も人間も、そして幽霊も楽しいことが大事なんだよ。喜楽という感情の影響は大きいのさ。つまり楽しんでりゃわざわざ争う必要がないんだ。しかし継続的な喜楽ってのは逆に飽きるからな。たびたび誰かが騒ぎを起こすことで喜楽のバランスを保つのさ。よくできているだろう?」
 すると、青年は困った顔で言った。
「ずいぶんと得意げだね。話を聴く限り、君が造ったわけじゃあないんだろう?」
「ああ違うさ。この世界自体を造ったのはただの妖怪さ。ただこの世界自体のシステムを担うのは住人である私たちさ。この部分では外と変わらんよ。ただこっちじゃ外と違ってただ騒ぎを起こしさえすればいい。人殺しだとかそんな事する場所じゃないのさ」
 私はそこで、立ち上がって再び元来た道を戻ることにした。青年は、これでわ(・)か(・)っ(・)た(・)は(・)ず(・)だろうから。



3.青年と末路

水硬が去っていった道を黙って見つめながら私は考えていた。この世界は私の知っている場所ではないのだから、これからどうやって暮らすべきなのだろうと。
彼女に置いて行かれる形となった私は、一本道を進んで歩き始めた。どうしていいのか想像はつかないが、何かしないよりはましだと思ったのだ。
森の中を歩きながら、水硬がやたら丁寧に話していたことを振り返る。ここは知らない世界で、檻の中で、暮らすのは死を恐れた神々。
人間たちはそんな神々を信じているのだ、という。しかし外は、私含めて神なんて話のネタくらいにしか思っていない。もしくは、都合のいい時に神頼みするくらい。
気づけば月が先程より高い位置にあった。水硬と別れてどれ位経ったのだろうか。月の光よりまぶしいモノがちらちらと動いていたりする。ここは知らない世界だ。知らない現象があってもおかしくはないだろう。故に私の世界の天体知識はあまり意味はないのかもしれないから、あえて時間を推測することはしなかった。
 そう考えてさらに歩いていくと、やっとのこさ周囲の景色が変わってきた。人里が見える。小さな村なのだろうか。既に時間が遅いこともあって灯りはポツリポツリとしか点いていなかった。しかしそれなりに長い時間知らない森を歩いた私にとっては安堵する要因だった。あそこに行けば、どうにかなるかもしれない。
 先程より歩調を速めて、視界に捉えた村を目指した。やっと人里に出られると思うと、腹の虫が生意気に泣いたらしかった。
 腹の虫に急かされるように村へとたどり着くと、そこは茅葺き屋根の建物が立ち並んだ古風な場所だった。古びたラジオや壊れたものを修復したらしいスポーツ自転車が並んでいて場違いな感じを覚える。
 灯りが点いてる一軒の家を訪ねる。呼び鈴が見当たらなかったので硝子戸を直接叩いてみる。
 すると、少し経って小さな女の子が出てきた。桜色のじんべいが似合っている。こんばんは、と彼女の視線に合わせて挨拶をすると、わなわなと震えて、悲鳴を上げながら家の中へと逃げ帰っていく。
 少女に代わるようにくたびれた女性が出てくるが、私を見てすぐに「ここを去れ」と言い残して扉を閉めて拒絶した。
 なんとなくそんな親子に腹を立てつつ、次の家へと赴いたが。
「ふふん、拒絶されたのかね」
 そこにさんざん長話に付き合わせた挙句おいて行った水硬が再び姿を現した。相変わらず、酒焼けしたかのような声だった。
「気づいたと思っていたんだがな。思いのほか青年は物わかりが悪いようだ。頭にアルコールが足りてないんじゃないかね?」
「未成年飲酒は駄目だろう」
「はっは、ここは楽園。そんなつまらんルールはないよ。そもそも私は生きて数十年なんてレベルじゃないんだからな」
 豪快に笑って、水硬は杯に注いだ酒を飲み干す。どこをどう見ても可憐な少女である彼女がどこかのおじさんのように酒を飲む光景は、いつになっても慣れそうにない。
「で? ぶっちゃけどうだったのさ宿泊交渉は?」
 私にとって耳の痛い質問を楽しそうに聞いてくる水硬。しかし不思議と嫌味という感じはしなかった。
 断っても良い事なんか一つもないのは彼女の顔を見て分かったので、ため息交じりに「全滅」と答えてやる。
「ほーぅ、やっぱり」
 すると、水硬はにんまり、と笑った。先ほどまで浮かべていた笑顔とは別種。とても黒い何かを感じさせる種類のものだ。
 そうして、軍神建御名方神(たけみなかたのかみ)はそのまま、私の返答を待たずに言い放つ。
 ―――君はすでに人ではないのである。
「君は幽霊。どこぞの妖怪によって行くべき場所に行けなかった、哀れな亡霊ともいえる」
 今まで小さな少女に見えた軍神が、とても、大きく見えた。
その答えを、聞いた時から。
 私はしばらく呆然と、奇妙な村と少女の前で立ち続けた。頭の中にはもはや何もない。あるのは、自分がすでに人間ではないという目の前の少女の言葉。それだけ。
「どうして」
 やっとの思いで、一言を紡ぎだす。不思議なことに、一言紡ぎだしたら、ぽろりと二つ、三つと言葉が口から飛び出してきた。
「どうして、私が、幽霊なのだ。私は、人間だろう?」
 私の声を、少女は黙って聞いていた。手に持っていた酒瓶と杯を手近にあった樽の上に置いて、どこか悲しげな顔で、聞いている。
「考えることもできる。見ることも感じることも、できる。ならば人間なんじゃないのか?」
「違う。違うんだよ君。君は……忘れ去られたんだ。もう、気づいていたはず」
 少女の、残酷な声が、事実を告げている。それを、私は感じた。
森の中で少女は、建御名方神(たけみなかたのかみ)は言った。存在が忘れ去られれば、神は死ぬ。と。それと同じことが、人間にも言えるということなのだ。だから、あの時話したのだ。この世界の、仕組みを。
「生物学的に死んでも、忘れられることがなければこのように記憶と意識を保ったままここに、幻想郷にやってくることはなかっただろうよ。しかし君は、忘れられてしまった。大切な人なんかいなかっただろうから、当然ともいえる節理。しかし、幻想郷(ここ)自体に呼ばれる存在でもなかった。……冥界へ誘われる前に、ここの創造主に“神隠し”されたのだ」
 酒焼けした声が、澄んだ琴の演奏のように奏でられる。奏でる旋律は真実だ。
 そんな旋律の前で、私は静かに、“前世”を思った。
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Author:ヒカリさん
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苦手なものはかぼちゃ、うめぼし、骨の多い魚他もろもろ・・・。
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プロフこちら↑

高校一年生演劇部所属。
中学の時は吹奏楽部で、楽器はクラリネット(B♭)&バスクラリネット(B♭プラ菅)

マブラヴTEのクリスカマジイケメンwww
イーニァが可愛すぎww
タケミーはさらっと角なしが好き。角ありだと赤。
真耶か真那と言われたら真耶派。

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